【イベントレポート】スパイク・チュンソフト様対談:「クリエイターを採用する基準」とは?

アカデミー生の採用実績をお持ちの株式会社スパイク・チュンソフト様の人事が登場!「どんな基準で人材を採用しているのか」を公開します。

2023年5月19日(金)に開催したオープンキャンパスでは、株式会社スパイク・チュンソフトとの企業対談を開催しました。

アカデミーの卒業生が、どのようなゲーム会社に就職しているのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、みなさんに代わってアカデミー責任者の佐藤が「企業が求めている人材」について、スパイク・チュンソフトの人事に質問しました。


[インタビュアー]
C&R Creative Academy 責任者:佐藤浩平
[インタビュイー]
株式会社スパイク・チュンソフト 人事総務グループ:中井さん
株式会社スパイク・チュンソフト 人事総務採用担当:細野さん


【株式会社スパイク・チュンソフト会社概要】

2012年4月に、株式会社スパイクと、株式会社チュンソフトが合弁して誕生しました。
互いが開発してきたヒットシリーズのノウハウを活かし、革新的なゲームの開発に取り組んでいます。
代表的なゲームタイトルには、推理アドベンチャーとアクションをミックスした「ダンガンロンパ」シリーズや、
1,000回遊べるダンジョンRPG「不思議のダンジョン」シリーズがあります。

https://www.spike-chunsoft.co.jp/

「ゲーマーのゲーマーによるゲーマーのための会社」というコンセプトで、バックオフィスのスタッフも含めてゲーム好きのプロ集団。
ゲーマー目線で、記憶に残るような尖った作品を世に生み出しています。
2023年6月30日には完全新作のダークファンタジー推理アクション「超探偵事件簿 レインコード」を発売予定。

https://www.spike-chunsoft.co.jp/raincode/

採用基準はフェアに!バックグラウンドは関係ない

佐藤(C&R Creative Academy責任者)※以下、佐藤:
アカデミーに興味を持っていただいている人の中には、高卒から大卒、いろんな方がいらっしゃいます。
スパイク・チュンソフトさんが採用するにあたって、学歴や職歴は重要視しますか?

スパイク・チュンソフト中井さん※以下、中井:
学歴と職歴に限らず、バックグラウンドは気にしません。ただ1点、ジョブホッピングについては気にしています。
毎年のように転職しているような方は採用しないと思います。うちに来ても定着できないのではという評価をしてしまいますね。

佐藤:
他に重視されている面はありますか?スキルやマインドなど、大事にしていることがあれば教えていただきたいです。

中井:
当社はコンシューマゲームを作ってきている会社ですので、やはりコンシューマゲーム好きかどうかですね!
仮にスキルが非常に高いとしても、好きでもない・やりたいことが叶わない環境では、その方の能力を100%引き出すのは難しくなるでしょう。

佐藤:
なるほど。ファンであれば、みんな同じ方向に向かって走っていけそうですもんね!

中井:
ファンを採用すると、仕事に影響すると考える企業もありますが、弊社はファンの「作品に対する思いが強すぎる」というデメリットよりも、
「ファンだからこそ作品にこだわるというメリットがある」と考えています。だからファンを採用しているのです。

「学ぶは時代遅れ?」成長のカギはアップデート

佐藤:
中井さんが見てきた中で、入社後に活躍した人ってどんな人がいましたか?

中井:
大きく分けて「好奇心旺盛で、自ら情報を収集する人」と「コミュニケーションが上手もしくは、一生懸命に取ろうとする人」の2つですね。

1つ目から説明すると、学校で教わっていることだけで満足している人は成長が止まってしまいます。
どういうことかというと、ゲーム業界やITなどのインターネット業界って、進化のスピードがめちゃくちゃ速いんですよ。

たとえば、新作ゲームの開発には約5年かかることもあり、今の技術が5年後には時代遅れになることもありますので、制作中にブラッシュアップしなければなりません。
実際に、制作段階でエンジンを変えることもあり、かなり苦労しながら作っています。ですので、常にアンテナを張って情報収集して実践できる人が成長しています。

佐藤:
アカデミーでも同じですね!学校の内容だけじゃなく、自分で情報集めて、鮮度が高いものを仕入れる習慣が身についている人が成長していますね。

中井:
そうですよね。会社でもアカデミーでも同じことが言えると思います。就職したら、仕事をこなすのは当たり前です。
その先を見据えて、新しい技術を学ぶことが「義務だと思わない人」が成長するのではないでしょうか。

2つ目にあげたコミュニケーションは、自身の成長に欠かせません。お話が上手っていうよりも、周囲と関係を作ろうとする努力が大事だということです。
悩みを自己完結するのではなく、自分で調べてインプットし、実践してみた結果を社内の人に話すことでアウトプットになります。
それができる人が(スキル的に)伸びています。

▲スパイク・チュンソフト様の代表作の2作品。数えきれないほどのブラッシュアップと苦労を乗り越え、私たちの元に届いたのですね。

ポートフォリオに求めるものとは

佐藤:
応募者はどんなポートフォリオを準備すればいいのでしょうか?プラスこれがあったら高く評価されるポイントも教えていただきたいです。

中井:
「作品がだらだら並べられているだけ」のポートフォリオはNGです。
デザイン系の専門学生や美大生に見られるパターンとして、1枚絵だけが何枚も掲載されているポートフォリオがあるんですが、書類選考の段階で落ちる傾向にあります。
採用側が見ているのは、作業工程や時間です。作品に対する技量やスケジュール感を評価しています。

佐藤:
作品のクオリティーも大事ですが、仕事は期日や過程が重要ですからね。

中井:
そうなんです。あとは「自分がこだわったところをしっかりとアピールできているか」ですね。
どんなツールや技術を用いて、どのように表現したのかを書いていただきたいですね。

佐藤:
ツールを使いこなせてる方が確実によいってことですね。

中井:
あとは、クロッキーやデッサン、模写などのアナログをやってきたかどうかも重視しています。
めちゃくちゃ上手くなきゃいけないということではなくて、アナログの経験値が、見たもの、表現したいものを正確に描き出す能力に直結してくるからです。

離職率はたったの5%

佐藤:
うちのアカデミー卒業生が、スパイク・チュンソフトさんはかなり働きやすいと言っていました。どんな働き方なのでしょうか?

中井:
弊社は「裁量労働制(※)」という働き方です。

※裁量労働制とは、日本の労働法制で採用されている労働者が雇用者と結ぶ労働形態の一種。
労働時間と成果・業績が必ずしも連動しない職種において適用され、あらかじめ労使間で定めた時間分を労働時間とみなして賃金を払う形態のこと。

▲企業対談資料から抜粋。仕事に打ち込める、みんなが働きやすい環境作りを大切にされているのが分かります。

そのため、残業や遅刻、早退という概念がなく、仕事に差しつかえのない範囲で時間を自由に使えます。
大げさに言えば、1時間勤務でも10時間勤務でも、個々の目標を達成できれば会社としては8時間働いたとみなします。

佐藤:
僕たち管理職も同じ働き方ですね。その点、労働時間にはかなり厳しいですよね。

中井:
その通りです。当社はKADOKAWAグループということもあり、長時間労働を容認しないというスタンスです。
ですから、時間管理は裁量労働であってもきっちりタイムカードで把握しております。たとえば、規定された時間以上働いたスタッフがいたとします。
そうなると、所属の責任者が会社の上層部に申告し、改善や対処を行います。長時間労働が続かないよう配慮されています。

佐藤:
きちんとされていますね!

中井:
はい。ありがたいことに、離職率5%前後を推移しています。

佐藤:
本当に素晴らしいと思います。僕もクリエイターを目指す人から「ゲーム会社って、労働環境がブラックですよね?」と聞かれることがあります。
確かに10年くらい前はそのような企業も多くありました。
今はどの企業もタイムマネジメントがしっかりしているので、全体的にブラックな体質ではなくなってきています。
特にスパイク・チュンソフトさんはその辺りについては細かくされていますよね。

中井:
そうですね。「みんなが働きやすい環境を整えて、しっかり仕事に向き合える環境を作りましょう!」ということで、一生懸命整えてきた結果です。
それから年収の部分ですね。まず年俸というものがあり、それに加えてボーナスにあたる「インセンティブ」があります。
会社で定めたラインを超えた利益は、全社員で分配するという制度になっています。
さらに、開発部門には「タイトルインセンティブ(2段階支給)」という制度があって、関わったタイトルで出た利益を配分するというものがあります。

佐藤:
なるほど!アカデミー卒業生から「スパイク・チュンソフトさんは働きやすい!」という声が聞けるのも納得ですね。今回はご登壇いただきましてありがとうございました。

▲アカデミー責任者の佐藤とお2人は飲みに行く仲とのことで、仲の良さがにじみ出ていました。

取材後記

今回の企業対談で、採用者側が重視しているポイントが理解できましたね。
求めている人物像は、好きを仕事にでき、日頃から情報を得て実践する習慣がある人、かつコミュニケーション能力も重視しているとのことでした。

また、ポートフォリオに関しては、採用側が求めていることを意識し、伝わるように工夫すべきとのことですね。これらを参考にしていきましょう。

アカデミーでは授業料完全無料で、就業後に培ったスキルを活かせる実践形式の授業を行っております。
気になる方や少しでも興味がある方は、 こちらから随時説明会を開催しておりますので、ぜひ参加してみてください。

文:小川翔太
画像キャプション:アカデミー運営

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