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イベントレポート
【イベントレポート前編】クリエイターとして観察眼を養うには“模写”が重要

C&R Creative Academy(以下アカデミー)のCGブラッシュアップクラスを多くの人に知ってもらいたく、6月23日(金)にCGブラッシュアップクラス単独のオープンキャンパスを開催しました!
アカデミーのオープンキャンパス恒例となったコンテンツ「座談会」を実施。受講生が制作した作品をもとに、講師と作品のクオリティーを上げる模写のススメについて語り合いました。
前半・後半の質疑応答編の2回に分けてお届けいたします。


[インタビュアー]
C&R Creative Academy責任者:佐藤浩平

[インタビュイー]

・CGブラッシュアップクラス講師:佐藤智幸

CGブラッシュアップクラス受講生(24卒)

・3DCGキャラクターモデルクラス:粂野さん
・3DCG背景モデルクラス:北田さん、小﨑さん、吉田さん、山影さん


アカデミーで模写をやる最大の理由

佐藤(C&R Creative Academy責任者)※以下、佐藤:
模写を課題にしている理由はなんでしょうか?

佐藤智幸先生※以下、佐藤(講師):
模写を課題にしている1番の目的は、「観察眼を鍛えること」です。受講生の中でも、オリジナル作品の制作をしたがる人がよくいます。
もちろんそれも良いことですが、経験や知識が浅いときにオリジナル作品ばかりを制作していると、
クオリティーが向上しない傾向にあるんです。

オリジナル作品の正解は「作者だけが知っている」ということになるので
「受講生が作ったオリジナル作品の正解を知っているのは受講生だけ」ということになってしまいます。
それでは、作品の評価基準(ゴール)が不明瞭となり、講師から明確な指導もできません。
一方、模写であれば、模写元という正解(ゴール)がありますから、間違い探しができるので指導もしやすく、
上達も早くなる傾向にあります。

佐藤:
たしかに、プロになってからいきなりオリジナル作品を作る機会はほとんどないですもんね。

佐藤(講師):
そうですね。構図や視線誘導とか光のあて方などといった基礎知識がない状態で、
オリジナル作品に挑むと、全体的にまとまりのない印象になってしまいます。

吉田さん(受講生)以下、吉田(受講生):
先生のおっしゃる通りで、オリジナル作品を作っていたころは、スケール感を気にせず、それっぽい感じで制作していました。
一応、他の写真を参考に制作していましたが、作品内で描写する物の大きさや長さは感覚でやっていたため、
違和感のある作品に仕上がってしまいました。

佐藤:
物の大きさも長さも角度も正確じゃないといけないわけですね。先生、これはキャラクターモデルも同じ考え方なのでしょうか?

佐藤(講師):
はい。背景とキャラクターモデルの考え方は基本的に同じです。雰囲気で作るんじゃなくて、模写元をよく観察することが重要ですね。
実際の授業でも、Photoshopを使って、作品と模写元を重ねてチェックしてもらっています。
もし重ねずに横に並べてチェックしようとすると、左右に視線を移動する際に、位置関係が曖昧になってしまいますから、
必ず模写元を重ねてチェックするように指導しています。

佐藤:
実際に受講生の作品を見てみましたが、模写元と作品の区別がつかないぐらい、忠実に模写がされていて驚きました…
どのくらい細かく指導されているのでしょうか?

佐藤(講師):
ミリ単位の位置や角度のズレ、質感の違い、光の当たり方の様子からまですべてですね。

粂野さん(受講生)以下、粂野(受講生):
たとえば僕の作品を例に説明すると、模写元のキャラクターの口角に凹みがあるんです。
先生からは「口角の凹みが全然違う」と指摘をもらいました。

佐藤:
そこまで細かく指摘されるんですね!

佐藤(講師):
作品のチェックバックは、僕以外の受講生にもしてもらっていて、いろんな視点から指摘を入れます。
慣れるまでは緊張しますが、お互いの作品をチェックし合うのがこのクラスの特徴ですね。

粂野(受講生):
入校する前も模写をしていましたが、自分1人では妥協していた箇所にもチェックバックが入るおかげで、グングン成長していきました。

佐藤(講師):
このクラスの特徴の1つでもありますが、僕がプロの現場で出すチェックバックと同じレベルでチェックバックを出してます。
学生からは「少々厳しい」と言った意見も耳にすることもありますが、プロになればこのレベルの指摘が待っています。
そのため、現場に立ったときに面を食らわないように、前倒しで指導しているのです。

成長すると良い意味で終わりが見えなくなる

佐藤:
受講生の皆さんに聞きたいのですが、先生と他の受講生から、自分の作品に対してたくさんの指摘があると、

修正が嫌に感じるときがありませんか?

北田さん(受講生)※以下、北田(受講生):
最初は厳しいと感じました。先生からの添削は、実際に勤めてから求められるようなプロ目線の添削です。
独学でCGをやってきた今までと大違いでした。

小﨑さん(受講生)※以下、小﨑(受講生):
最初は修正の多さに、対応しきれないのではないかと不安がありました。でも、他の受講生もコツコツやっているので、私もできました。

佐藤(講師):
修正することが多すぎて嫌になったときは、視線を集めやすい場所や、面積の広い箇所から修正していくのが鉄則です。
また、モデリングが完成してから質感を修正するのではなく、質感や素材などの要素を仮でもいいので入れていきます。
全体が大まかにできてから、細かいところを修正していくのが一番よい取り組み方です。

佐藤:
そうすると1つ目の作品を制作して得た経験が、次の作品でも活かせそうですね!

粂野(受講生):
作品を作り進める度に、チェックバックで戻されることも減ってきてスムーズに制作が進められるようになります。
直すところがないというわけではなくて、自分で突き詰めるようになるので終わりがないです。

佐藤:
フィードバックが少なくなって成長を感じているけど、こだわり続けると止まりませんよね!やはり期限も重視しているのでしょうか?

山影さん(受講生)※以下、山影(受講生):
期限までにできるところはどんどん直そうという意識でやってます。

佐藤(講師):
仕事では予め設定された期限の中でしか作業ができません。
修正しきれず悔いが残るのであれば、それが今の実力だと認識してもらい、次の作品へ移ってもらいます。

佐藤:
受講生の皆さんも、こうして過去の自分の作品を振り返ると、少し恥ずかしいですよね!

佐藤(講師):
恥ずかしいと感じるってことは、それだけ成長したってことです。受講生の皆さんは自信を持ってくださいね!

▲小﨑さん受講前作品
▲小﨑さん受講後作品。完成ツイートの閲覧数は2.8万件!模写元と3DCGの違いが分からないほど。

模写は「模写元の作品選び」が最も重要

佐藤:
模写元の作品の選択は、先生が決められるのでしょうか?

佐藤(講師):
最初に選定するポイントを伝え、本人に何百枚の模写元の作品を集めてもらって、その中から僕が5枚くらいに絞り込みます。
そこから、受講生みんなでディスカッションして選んでもらっています。

佐藤:
模写元の作品として選ばれる基準はわかりましたか?

山影(受講生):
(模写元として)どれも不採用になったときもあり、次の週までにもう1度集めてきてと言われ苦労もしました。

佐藤:
手を動かす時間も大事ですが、模写元の作品を観察する時間も大事ってことでしょうか?

佐藤(講師):
模写元の作品は、徹底的に時間をかけて探してもらっています。
模写元の作品がかっこよくないと、CGで作成した作品も同じようになってしまうからです。
僕らのようなプロであれば大抵のものは作れますが、制作元の詳細を知らないと作れません。
たとえば「オオサンショウウオのお腹の模様」と言われても僕はわからないので、調べるしかない。
その場合、ネットでも調べますが、可能であれば現地に行って調べたりもします。

佐藤:
現地に行くこともあるんですね!

吉田(受講生):
SFのような架空の世界であれば、現地に行くことは困難ですから、実寸大がわからないと思うんです。
その場合は、身近にあるものを資料として集めてから制作をスタートさせています。

▲CGブラッシュアップクラスには『カメラ部』という部活があり、不定期で佐藤先生引率の元、日本各地に赴き、カメラや構図、画作りについて指導を受けられる。

編集後記

3DCGブラッシュアップクラスの受講生たちは、先生から厳しい指導を受けながら成長しているようです。
だからこそ、模写か写真かどちらかわからないほどの、高い評価がもらえるポートフォリオができるのだと実感できます。

アカデミーでは授業料完全無料で、就業後に活かせる実践形式の授業を行っております。
今回は、大学生・専門学生対象のクラスを紹介しました。
アカデミーが気になる方や少しでも興味がある方は、こちらから随時説明会を開催しておりますので、ぜひ参加してみてください。

質疑応答編に続く)

文:小川翔太
画像キャプション:アカデミー運営

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