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C&R Creative Academyではゲーム・CG業界への就業を目指す皆さんへ有用な情報の発信を行っております。
今回は11月14日に開催した「AI時代にこそ生きる3Dモーションの基礎を学ぶ理由」の講義の内容をまとめた前編と質疑応答をまとめた後編の2本立てでお届けします。
登壇は、コンシューマーゲームのモーション制作を中心にキャリアを重ね、現在はフリーランスとして制作と講師業を行う井口先生。
「AIがどんどん進化しているのに、今から3Dモーションを学んで意味があるのか」
「いずれAIに仕事を奪われてしまうのではないか」
そんな不安を抱える方に向けて、現役クリエイターの目線を交えて今後の学習の進め方についてアドバイスします!

【講師紹介】
井口 清佳
コンシューマーゲーム出身のモーションデザイナー
井口先生はCGのモーションデザイナーとして、主にコンシューマーゲーム(家庭用ゲーム機向けタイトル)のモーション制作に携わってきました。
キャラクターの動きに加えて、カメラワークや絵コンテを通じた演出設計も担当。
現在はフリーランスとして現場の仕事を続けながら、教育現場でも講師として活動しています。
社会人になってから一からCGを学び始めた経験があり、C&R Creative Academyの卒業生でもあります。
目次

まず最初に、3D・ゲーム業界におけるAIの現在地からお話しします。研究・開発の世界ではAI関連の取り組みがとても活発で、制作現場にとっても「無関係ではいられない段階」に来ています。
ここが前提です。

一方で、制作現場には以前から「チェッカー不足」という課題があります。
作る人だけでなく、「どこが良いのか」「どこに違和感があるのか」を判断できる人が足りないんですね。だからAIで効率化が進むほど、アウトプットの物量が増えやすくて、チェックの負荷が上がる可能性も出てきます。AIがあるから単純に楽になる、という話ではないと思っています。

それから、生成AIと著作権の話も避けて通れません。「技術的にできること」と「商用で使えること」は別です。企業は慎重になりやすいので、運用の線引きが重要になります。
全体としては、職種が急になくなるというよりも、まずワークフローや作業量の配分が変わっていく段階だと捉えています。


次に、「なぜ今後も学ぶ必要があるのか」です。
よく「ここはAIより人間の方が得意」と言われますよね。ただ、その考え方に頼りすぎるのは危ういと思っています。AIの進化は予想以上に速くて、弱点とされてきた点も短期間で改善されていくからです。
そのうえで、私が大事だと思っているのは「AIが進化したとしても、人がやるべきこと」に着目することです。
例えば、人はAIに対して「何に価値があるのか」を学習させ続けなければいけません。
価値や流行って、固定じゃないんですよね。たとえば「現実と見間違うようなリアルさ」が重視される時期がある一方で、それが当たり前になると「幻想的な表現」や「手描きのような味のある表現」に関心が移る。また、単にデータとして「多い」ものが魅力的とも限りません。アニメーション表現の世界でも。
人が新しい価値に気づいて挑戦し続ける限り、AIに渡すべき「新しい基準」は途切れません。アニメーターやクリエイターは、そこを担う立場だと思っています。

では、「具体的に何を学べばいいのか」です。私は大きく4つに整理しています。
順番にいきます。
MayaやBlenderのようなDCCツールを学ぶ意味は、今でもあります。必要です。
現状、生成AIだけで作品を仕上げようとすると、理想に近づけるために何度も出力を繰り返したり、プロンプトで細かなニュアンスを指定したりと、別の大変さが出てきます。一方で既存ツールは精密な調整が必要な場面や、タイミングやポーズを追い込みたい局面では、やっぱり欠かせません。
現場でも、ラフやアイデア出しは生成AI、本番の制作や作家性が問われる部分は既存ツールで仕上げる、という使い分けが現実的になってきています。今後はAIか、既存ソフトかの二択ではなく、それぞれの良さを理解し、知識を活用していく必要があります。
ソフト選びの目安としては、自主制作中心ならBlender、業界就職を強く目指すならMaya。
学び方は、無料情報に加えて有料チュートリアルも視野に入れつつ、「作りたいものを決めて学ぶ」ほうが必要な操作や知識が身につきやすいです。

2つ目は、「自然で魅力的に見える動き」のための知識です。
アニメーションでは、「正しい動き」と「魅力的な動き」は必ずしもイコールではありません。そこに“嘘”や“誇張”が入ることで、作品の魅力がグッとあがるんです。
そしてそのためには、世界観に合わせて「さじ加減」を調整してあげる必要があります。また、参考にしている既存の作品が最善の動きになっているとは限らないので、その都度「もっと良い表現はないか?」考え続ける必要があります。。その判断は、AIツールを使っていても人が担う部分です。だから基礎や演出の考え方を学ぶ意味は変わりません。
学び方としては、まずは良書から基礎や原則を学ぶこと。また、多くの参考を集め「考えながら」真似する事、自分の作品について意見をもらうことは必要不可欠です。

3つ目は、「今どんな表現やコンテンツが求められているのか」を知る力です。
作品を見る人の層は昔より広くなっています。コアなファンだけでなく、ライト層やSNSで偶然触れた人も含まれます。その中で、「画面の向こう側の人が求めているものは何か」、制作者自信の「好み」とは切り離した“デザイナー目線”で観察することが重要です。
また、就活の場面だと「画面の向こう側の人」は採用担当者です。志望企業がどんな作品を作っていて、何を大事にしているのか。その前提を踏まえて、自分の作品やスキルをどう見せるかを考える。ここまで含めて「ニーズの理解」だと思います。
そうしたスキルを身に付けるには、やはり一度は「誰か」に向けて自分の作品を作ってみること。また、SNSでの情報収集に加えてセミナーや勉強会で「生の声を直接聞く」ことは制作に役立ちます。

最後は、作りながら身についていく「経験的な知識」です。
知識をインプットしても、作ってみると「思っていたよりずっと大変だった」と感じることが多いです。だ最後は、作りながら身についていく「経験的な知識」です。
知識があることと、実際に作れることは違います。、作ってみると「思っていたよりずっと大変だった」と感じることが多いです。チームで作品を最後まで形にするためには、次の二つの技術が必要です。
これらは、一朝一夕で身に付くものではなく、「実践的な経験」の中で身に付いていきます。そのため、非常に代替されにくい能力です。
これらのスキルを身に付ける為に先ずやって欲しいのは、「好き」だと感じたことや、、学習の備忘録を文章として残すこと。これをやっておくと、言語化の練習ができますし、就活で話すときにも役立ちます。
それから、制作期間や工程、チェック項目などをまとめた「作業シート」を作っておくのもおすすめです。自分の作業を客観的に把握できて、ポートフォリオ制作や面接でも制作過程を説明しやすくなります。

ここまで、私たちが「これから」学ぶべきことについてお話してきましたが
実は、これって「AI時代」とは関係なく、「これまでも」ずっと求められてきた知識です。道具や工程が変わっても、作品を動かし、表現を生み出すうえで大切にすべき本質は変わりません。
だからこそ、今の時代を生きるクリエイターにとっても、改めて押さえておきたい基礎であり、未来につながる力だと考えています。
次回は、井口先生が現場で活躍されているクリエイターだからこその視点で、イベント参加者の皆さまからいただいた質問にお答えしていきます。
日々変化するクリエイティブの現場で「今、本当に求められていること」は何なのか──そのヒントをより深くお届けできれば幸いです。
後編も、今後のキャリアや制作活動に役立つリアルな学びをぎゅっと詰め込んでお届けしますので、ぜひご期待ください。
そして、この学びが次回イベントでの新たな対話や気づきにつながれば嬉しく思います。
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