C&R Creative Academy

業界20年のプロフェッショナルが語る、生き残るために大切なこと

クリーク・アンド・リバー社が運営するC&R Creative Academy(以下アカデミー)責任者の佐藤が講師陣にもインタビュー。
第一弾は、モーショングラフィックスコース担当の齊藤先生が登場。
映像業界に入った経緯や遊技業界に移行した理由、技術の磨き方、コンポジターに求められる姿勢などをうかがいました。


[講師]
モーショングラフィックスコース担当:齊藤郁美

[インタビュアー]
C&R Creative Academy 責任者:佐藤浩平


映画予告編制作会社に就職した、驚きの理由

佐藤(C&R Creative Academy責任者)※以下、佐藤:
齊藤先生は、モーショングラフィックスコースの講師を担当されています。僕は普段「郁さん」と呼んでいるので、今日もいつも通りでいきますね!
郁さんは映像・遊技業界歴約20年と長いですが、まずはクリエイティブ業界に入るまでの経緯を教えてください。


齊藤先生(講師)※以下、齊藤:
私は元々、大学の社会学部でマスコミの勉強をしていたんです。クリエイティブに興味はあるけど、専門学校へ行くほどの気概もなく、大学で自分を見つけたい…そんな人たちが集まっていましたね。そこで入ったサークルが、写真愛好会とキャッチボール部、映画同好会でした。

佐藤:
めっちゃ入ってましたね!


齊藤:
当時の私の原動力は「好きな人の趣味を真似する」で、気になる男の子がいたサークルに全部入ったんですよ。

佐藤:
乙女ですね〜。


齊藤:
そうなの!就活の時なんて、好きな人が映画業界を受けるから私も!という軽いノリで、年に1回しか見ないのに、映画が好きなフリして映画業界に入りました(笑)

佐藤:
えっ、マジですか!?


齊藤:
うん、結局その人は映画業界には入らなかったんだけど、私は映画の予告編を制作する会社に就職して、8年くらい働きました。

佐藤:
その動機で、8年も続いたんですか?


齊藤:
きっかけは好きな人だったけど、入社後は仕事にのめり込んでいきましたね。
予告編制作は、まず自分であらすじを書いて、映像と組み合わせていくんです。文章を書くのも結構好きだったので、自分の得意を活かせたんだと思います。

佐藤:
ディレクションもしていたんですよね?


齊藤:
小さな会社だったので、ディレクションから制作まで、一人で何でもしていましたね。全体の流れはもちろん、タイトルも作るし、時にはコピーも書きます。その頃はちょうどデジタルに移行する時期で、タイトル作りでは、After Effectsを使ったデジタルバージョンと、カメラで撮影するアナログの両方を経験しました。

佐藤:
当時のAfter Effectsは、「最新ツール」でしたよね?


齊藤:
そうそう!ちょうど転職してきたばかりの先輩が詳しくて、面白いから触ってみたら?と勧めてくれて使い始めたんですよ。そこでAfter Effectsを経験できたのは大きかったですね。

映画から遊技業界へ。「見て学ぶ」で技術を習得!

佐藤:
そこから遊技業界に移っていくんですよね。予告編制作から離れるきっかけは、何かあったんですか?


齊藤:
仕事は楽しかったけど、デジタル化するにつれて修正が多くなって…。アナログより短時間で直せるので、クライアントが夕方電話してきて「明日午前中の会議で見せたいから用意してくれ」なんていう無理なオーダーも増えてきました。それに疲れてしまって、もういいかな…と思って辞めたんですよ。

佐藤:
そうか、大変な時代でしたね。


齊藤:
その後1年くらい、居酒屋でアルバイトしたり、他のことをしたりして過ごしました。でも、だんだん自分にできることを活かして仕事をしようと思って、After Effectsを使える業種を探しはじめたんです。その時に遊技業界の仕事があることを知ったんですよ。
私は大学の頃からパチンコやスロットが好きだったので、「年に1回しか見ない映画の仕事ができたんだから、パチンコやスロットの仕事はもっと楽しくできるはず!」と思ってね(笑)

求職活動をしていたらクリーク・アンド・リバー社から連絡をもらって、登録したんです。その後遊技機開発や映像制作を行う会社で、最初は派遣で働きはじめました。それが12年前ですね。

佐藤:
派遣からのスタートだったんですね。


齊藤:
そうなんですよ。予告編制作時代にAfter Effectsで作ったのはシンプルなものばかりだったので、会社で仕事をしながら徐々にスキルを身につけていきました。

佐藤:
どんな風にキャリアを積んできたんですか?


齊藤:
当時はまだチュートリアル動画もほとんどなかったので、職場で同じコンポジターの作業の様子をこっそり盗み見たり、他の人の作品を分解させてもらったりして覚えていきましたね。人との出会いに恵まれて、同僚や先輩にレイアウトの基本や極意を教えてもらったりもしました。

佐藤:
基本的に「見て学ぶ」感じだったんですか?


齊藤:
そうそう!3D技術に長けている後ろの席の先輩が、派遣の子に一生懸命教えているのを聞いて、「そうやって色をつけるのか」と勉強したりね。

佐藤:
アナログ時代から急激なデジタル化、そして現在までを経験されてきたんですね。なかなかハードでしたよね。


齊藤:
でも、私の場合は時代に合わせて、ゆっくり成長してきた感じなので、すごくラッキーでしたね。

コンポジターは、発注者の想いを実現するのが仕事

佐藤:
現在もバリバリ活躍されている郁さんですが、遊技業界のコンポジターを目指す人に求められるのは、どんなことだと思いますか?


齊藤:
「自分が扱う商材」について、きちんと知っておくのがとても大事ですね。特に最近の遊技業界は、玄人受けするようなデザインや演出が多くなっているので、これまでの業界の流れを押さえておくことは必須です。それによって、自分の目も鍛えられますし。

佐藤:
アカデミーにも業界研究の講義がありますもんね。デザイン・演出面ではどうですか?


齊藤:
「高揚感を裏切らない演出」が求められますよね。遊技業界のデザインは、新しい技術が出る度に、「もっと高揚感を高められるかも」とチャレンジしてきた歴史でもあります。そんな中で、時にはやりすぎて迷走する時期などを経験し、失敗しながらもちょうどいいバランスを関係者みんなで探っている感じです。

佐藤:
「高揚感を演出するプロ」になっていくんですね。制作する上での魅力は、どんなところにあると感じますか?


齊藤:
今も少し触れたけど、お客さんの感情を盛り上げるデザインができると、すごく楽しいですよね。そういう台は結果的に人気が出て長く売れますから、成果もわかりやすいですし。

佐藤:
お客さんの気持ちを動かす、高めるデザインのポイントやコツはあるんですか?


齊藤:
とにかく作る!経験しかないですね。たくさん失敗しないとわからない部分もあります。ただその前提として、セオリーを覚えることは大事です。でも、セオリー通りに作っているだけではダメで、いろいろ組み合わせて試行錯誤していき、その上で自分の視点ものせていくんです。これができるようになるには、やはり経験が必要!

佐藤:
確かに、経験を積まないとわからないこともありますよね。


齊藤:
オリジナリティにこだわる人もいるけど、最初からそれを出そうとしても上手くいきません。基本をしっかり押さえてから織り交ぜていかないと、世間に認められるものにはならないと感じます。

佐藤:
その塩梅を探っていくんですね。郁さんは、コンポジターに向いているのはどんな人だと思いますか?


齊藤:
コンポジターは発注者の想いを実現するのが一番大切なので、相手が作りたいものをよく理解しないといけません。だから、コミュニケーション能力やホスピタリティーは重要ですね。相手の考えを汲み取れる、さらに、それを実現するために尽力し、技術を磨いていける人が向いていると思います。
あと、大前提として、コンポジターはアーティストじゃなくて、デザイナーなんですよ!アーティストは自分の想いで制作すればいいですが、デザイナーは注文してくれた方の希望や要望を実現するのが仕事です。そこはしっかりと意識しないといけません。

佐藤:
「発注者の想いを形にする」ことが、コンポジターの仕事なんですね。

学び続けていく力が何よりも重要

佐藤:
アカデミーでのモーショングラフィックスコースで講師をする際は、どんなことを意識していますか?


齊藤:
チュートリアルで済むものは、それを見てもらっています。逆に、他ではあまり語られない、これまでの業界の経緯や絵の作り方のコツなどを伝えるようにしています。

佐藤:
確かに、オペレーション動画はたくさんありますが、セオリーを語っているものは少ないですよね。


齊藤:
そうなんです!例えば絵を描く場合は、「奥に行けば行くほど色を薄く」しますが、それはホコリや空気があるからです。「なぜそうなるのか」という理由や考え方の解説は、丁寧に行っていますね。
あとは、常に学び続けていくためのツール、情報源をたくさん持つことの重要性も伝えています。私自身も、日々勉強しないと生き残れない厳しい業界なので、学び続けることは必須です。

佐藤:
アカデミーに在籍している間だけでなく、卒業してからもずっと自分で学んでいくことは、とても大事ですよね。
では最後に、これからモーショングラフィックスコースを受講しようと思っている方に、メッセージをお願いします。


齊藤:
まず、怖くないよ!と言いたいですね(笑)自由度が高いですし、面白いです。進化の激しい分野なので、新しいものが好きな人、好奇心旺盛な人は楽しいんじゃないかな。先ほども話しましたが、コミュニケーションが大切になるので、相手に興味を持って対話できる人も向いていると思います。

佐藤:
郁さん、今日はありがとうございました!

取材後記

長く業界の第一線で活躍する齊藤先生のお話は、とても説得力がありますね。また、「コンポジターにはコミュニケーション能力やホスピタリティーが大切」という視点は、一般的なイメージとは異なり、現場を生き抜いてきたプロならではの視点です。業界歴20年でも学びを止めない齊藤先生の姿勢は、クリエイターにとって大切なことを教えてくれていると感じました。

アカデミーでは授業料完全無料で、就業後に活かせる実践形式の授業を行っております。気になる方や少しでも興味がある方は、こちらから随時説明会を開催しておりますので、ぜひ参加してみてください。

文:小川翔太
画像:アカデミー運営

関連記事