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クリーク・アンド・リバー社(C&R社)が運営するC&R Creative Academy(以下、アカデミー)責任者佐藤が、卒業生にインタビューして、本音で語ってもらうシリーズ。
今回お話を伺ったのは、株式会社アトラス でデザイナーとして活躍する藤井さん。大学3年生で3DCGと出会い、そこからわずか1年ほどでゲーム業界への内定を勝ち取った、いわば”最短距離”で夢を叶えた方です。
藤井さんが、なぜ短期間でプロの世界へ飛び込み、チームを率いるリーダーに成長できたのか。学生時代の焦り、厳しくも温かい講師との出会い、そして入社後に見つけた「楽しさに昇華する」という自分なりの働き方——。等身大の言葉で語っていただきました。
未経験から、あるいは在学中にクリエイティブ業界を目指す方にとって、きっと背中を押してくれるストーリーです。
[プロフィール]
藤井さん(2020年卒/株式会社アトラス 第2プロダクション デザイナー(背景/3DCG)
大学3年生で3DCGを学び始め、在学中にアカデミーのCGブラッシュアップコースを受講。
入社7年目の現在はチームのリーダーを務める。
[インタビュアー]
C&R Creative Academy責任者 佐藤浩平
※現在はCGブラッシュアップコースの募集は終了しております。
目次
——まずは、ゲーム業界を目指したきっかけから伺えればと思います。小さい頃から興味があったんですか?
藤井さん(卒業生)※以下、藤井さん:
最初からゲーム業界を目指していたわけではないのですが、小さい頃からゲームはずっと好きで、「ゲームの仕事ができたら面白いんだろうな」というのは、なんとなく子どもの頃から思っていました。とはいえ、大学に入るまでは強く意識していたわけではなかったですね。
——大学に入った時点では、まだ進路はふわっとしていたんですね。
藤井さん:
そうなんです。ゲームが好きっていうのはあったんですけど、実際に何をするかは結構ふわっとしていて。ゲームだけじゃなくて映像なども学べる学校だったので、「自分に合うものは何だろう」くらいの感覚でしたね。
——ゲーム業界に絞り始めたのはいつ頃だったんですか?
藤井さん:
3DCGを学び始めたのが、大学3年生に入ってからで、結構ギリギリだったんです。でも、3DCGの授業が自分にすごくハマったというか。元々ゲームが好きだったという事もあり、3年生のときに「3DCGでゲーム業界を目指そう」とはっきり決めました。
——3DCGの中でもキャラクターや背景がありますよね。背景を選んだのはどうしてだったんでしょう。
藤井さん:
これも最初から決めていたわけではなくて。授業の一環で一通りMayaやPhotoshopなどを使い3DCGの基礎を学んだですけど、その中で一番楽しかったのが背景だったんです。「やっていて楽しい」というところで選んでいきました。

——3年生から本格的に動き出したとなると、時間的にはかなりタイトですよね。アカデミーのブラッシュアップコースを知ったのはどのタイミングでしたか?
藤井さん:
最初にきっかけを知ったのは、夏の企業イベントで、チラシか何かを見たことがきっかけでしたね。3年生から始めたというのもあって、正直かなり焦りがあったんです。だから企業イベントやインターンにも積極的に応募していて。そんな中で、無料で作品を見てくれる講座があると知って、「これは応募するしかない」と、その勢いのまま書類を出しました。
——当時はオンラインではなく通学でしたよね。学校に通いながら、週2回、夜19時から22時まで新橋の教室に通うのは、かなりハードだったと思うんですが、振り返っていかがですか?
藤井さん:
忙しかったんですけど、今思い返すと楽しかったというか、充実していたと思います。講座が19時からだったので、学校の授業を早めに抜けないといけない時もあり「こういう講座に通っていて…」と先生にお願いして調整しながら通っていましたね。しんどさもありつつでしたが、自分のやれることが増えていくのがすごく楽しかったです。
——当時のアカデミーは色々な学校の生徒が集まっていましたよね。専門学生もいれば大学生もいて、垣根を越えて切磋琢磨していた印象があります。
藤井さん:
そうですね。学校だとやる気やモチベーションが生徒間で結構バラバラだったりするんですけど、アカデミーにいる人たちは全員モチベーションが高くて。自分よりも優れたスキルを持っている人も多くいて、雑談していろいろ聞けたり、一緒にゴールを目指して作品を作っていくのが、すごく楽しかったですね。
——当時の講師に対して、厳しさは感じてましたか?
藤井さん:
めちゃくちゃ感じてました(笑)。学校にはいないタイプの先生で、すごく新鮮でしたね。ただ、そのぶん褒めてもらえるときがすごく嬉しくて。逆にモチベーションというか、「やってやるぞ」という気持ちになれたので、自分には合っていたと思います。
——フラットだけど、たまにちゃんと褒めてくれる。だからこそ喜びが倍増する、という感じですかね。
藤井さん:
やっているところをちゃんと見てくれている、という実感がすごくありました。学校の先生にはそれまで怒られることがほぼなかったんです。なので、アカデミーの講師に注意されたり「今のままだとスピードが遅いよ」と言われることが新鮮でしたし、自分の力になりました。「なるほど、ここが自分に足りないんだな」と日々振り返っていましたね。
——そんな中で、藤井さんはアカデミー生の中でも早い段階でSNSがバズりましたよね。アカデミーで一番最初にバズった生徒だと思います。
藤井さん:
ありましたね(笑)。1万件くらいいいねがついて、本当にびっくりしました。そもそもSNS自体、始めてすぐくらいだったんです。講座で「作品を発信していった方がいい」と言われて始めたばかりだったので、余計に驚きました。
——朝起きたら通知が鳴り止まないって言っていましたよね。
藤井さん:
そうなんです。「これがバズるってことか」みたいな(笑)。
——実は、その前は「SNSはちょっと苦手だわ」って言っていましたよね。それがバズった翌日にクラスに来てみんなに「SNSやった方がいいよ」って言って、みんなからツッコまれてましたよね(笑)。
藤井さん:
それ、めっちゃ覚えてます(笑)。
——大学3年生から始めて、自信もない中でやっていたかもしれないけれど、講座を経て作品が評価されたりバズったりして、また制作に前向きに進めた部分もあったんでしょうか。
藤井さん:
そうですね。バズりもそうですが「講座に通っている」ということ自体が、やっぱりモチベーションになっていました。

——第一期生として1年弱通っていただいて、就職活動も一緒に進めました。就活は苦労しましたか?
藤井さん:
かなり苦労しましたね。自分はずっと喋るのが苦手だったので、面接は相当苦労しました。面接の練習にもアカデミーの就活担当の前田さんに何度もお付き合いいただきました。
——何度か面接を受けて、いざ内定をもらったときはどういう気持ちでしたか?
藤井さん:
やっぱり嬉しいのが一番大きかったですね。それと同時に、「入った後、これからどうなっていくんだろう」という期待と不安もありつつ、という感じでした。
——いざ入社してみて、想定していたものと実際とのギャップはありましたか?
藤井さん:
インターンで行っていたゲーム会社や講座でのやり取りをもとに想定していたんですけど、アトラスはまた社風が違っていて。「ゲーム業界が全部同じなわけじゃないんだな」というのが、ギャップとして印象に残っています。
——どういうギャップだったのか伺えますか。
藤井さん:
配属されてすぐに仕事を任せて頂けた事ですね。「仕事をしながら、わからないことがあったら聞いていく」というスタイルでした。配属日に上長から「君のプロジェクトはこういうプロジェクトだよ」と説明があって、「早速やるんだな」と、ぐっと気持ちが入りました。ちょうどコロナ禍でフルリモートだったので、チャットでやり取りしながら進めていく感じでしたね。
——入社して7年目ですが、今アトラスさんの社風をどう感じていますか?
藤井さん:
風通しがいいというのは、入った当時も今も変わらず感じています。1年目、2年目の頃から「こういうことをやりたい」と上長に言うと、「やってみてもいいよ」と許可してくれて、しかもちゃんとサポートもしてくれる。新人の頃から提案を気兼ねなく言える空気が、ずっとあります。
——それは素晴らしい環境ですね。何か具体的なエピソードはありますか?
藤井さん:
新人の頃なので大したものではないんですけど、最初に携わったのがリメイク作品で。元データに四角いテーブルがあったんですが、「自分はこういう意図があって、丸い形のテーブルにしたいんですけど、どうでしょうか」と提案したら、理由を聞いてくれて「それならやってもいいよ」と。自分の意見や提案を、ちゃんと聞いてくれるんです。
——きちんと根拠を添えて提案する、というのが1年目から根づいていたんですね。
藤井さん:
そうですね。上長も何でも首を縦に振るわけでなく、理由を説明したうえで「じゃあ、さらにこうした方がいいんじゃない」と提案を返してくれる。それでより良いものになっていく、という作り方が文化として根付いていると思います。
——これまでのキャリアの歩みも伺えますか?
藤井さん:
入社してから最初のプロジェクトは2年目の途中まで所属していて、上長の指示を受けて仕様を見ながら背景を作る、というところに注力していました。
2つ目は、社内の背景担当が自分と上長の2人だけで、メインは外注というチームでした。少人数だったこともあって、背景以外の仕事——他のヘルプや一枚絵の制作など——いろんな経験をさせてもらったのが2〜3年目あたりですね。
3つ目は大規模なプロジェクトで、それまでの経験をもとに、指示を聞くだけじゃなく「こうした方がいいんじゃないか」という提案が増えていきました。背景班にとどまらず、シナリオなど別の班とも絡んで、ゲーム全体を俯瞰して見られるようになりつつあったのが4〜5年目。
そして5年目から6年目にかけて、「次のプロジェクトのリーダーをやってみないか」と声をかけていただいて。今はこれまでの経験をフル活用しながら、なんとかやっている、という感じが現在進行形ですね。
——一年ごとに、やれる範囲も責任も広がっていく。理想的なキャリアアップですね。
藤井さん:
そうですね。いろいろな経験をさせてもらっていると思います。

——今リーダーを務めているチームは何人くらいですか?
藤井さん:
自分も含めて6人くらいのチームで、5人のメンバーに指示を出す、というところをやっています。ちょうど今年、背景班に新卒の子が入ってきて、自分のプロジェクトに所属することになったので、上長兼リーダーとして教えるのを経験しているところです。
——リーダーを任命されたときは、緊張や不安もありましたか?
藤井さん:
正直、不安の方が大きかったですね。何をすればいいんだろう、どうなるんだろう、というのも分からなくて。「やります」と言える根拠も、その時の自分にはなかったので。ただ、自分は昔から「任された仕事は1回やってみる」というスタンスがあったので、不安もありつつ、まずは引き受けて「そこから考えよう」と。
——実際にやってみて、いかがでしたか?
藤井さん:
やってみたら、全然やれているというか。それほど不安を感じることもなくやれています。
——リーダーとして、今気をつけていることはありますか?
藤井さん:
まだ手探りなんですけど、一番気にしているのは、メンバーが楽しく仕事できる環境であることなんです。楽しくない作業を徹底的に排除して、楽しい環境をつくる。それが自分の一番やりたいリーダー像かなという感じで、今は自分なりに試行錯誤している段階ですね。
——それは、この7年間で先輩から教わったことも生きているんでしょうか。
教えてもらった部分もありますし、昔から自分の原動力にしていたのが「自分が楽しいかどうか」なんです。それは学生の頃から今もずっと続いていて。もちろん一番はユーザーに楽しんでもらうことなんですけど、作っている本人たちが楽しめていないと、そもそもユーザーが楽しいものは作れないのかなと思っていて。だから、チームメンバーにも楽しんで仕事をしてもらうのを最優先にしたいというのは、昔からの自分の性格としてありますね。
——大学3年生から目指して就職まで、期間としてはかなり短い、いい成功パターンだと思います。今振り返って、「これが良かった」と思う考え方や飛び込み方はありますか?
藤井さん:
とにかく「やってみる」のがすごく大事だなと思っています。正直、自分は今もそうなんですけど、割と引っ込み思案というか、何かやろうと思ってもやらない理由を探してしまう、引きこもりがちなタイプだったんです。それが3年生から焦りもあって、実際にやってみたら、自分が不安に思っていたことは意外と多くないんだなと気づいて。
——インターンなどもそうだったんですか?
藤井さん:
そうですね。「半年くらいの初心者が行っていいんだろうか」と思っていたんですけど、実際に応募して行ってみたら、なんとかなるんです。「なんとかなる精神」というのが自分の中では大きかったですね。迷っていることがあったら「やるべきなのかな」と考える。そのマインドは、リーダーになった今も生きています。迷ったなら、とりあえずまずはやってみよう、と。
——ストーリーとして、すごく一本筋が通っている感じがしますね。
藤井さん:
はい。そこは、自分の中でも軸として通っている感じがしていますね (笑)。
——学生時代に「これをやっておいてよかった」ということはありますか?
藤井さん:
——大学に入った時点では、まだ進路はふわっとしていたんですね。
藤井さん:
実用的なところで言うと、インターンの経験はかなり生きています。入社前に2社ほどゲーム会社でインターンをやらせていただいたんですが、そのどちらの経験も、入社直後も今もすごく生きていると感じます。学校に通うだけじゃなくて、自分から探せば学生のうちからやれることはたくさんある。「やれることはとにかくやってみよう」という精神が、今につながっていると思います。
——「やってみよう」と決めてチャレンジするからこそ成長できる、ということなんですね。ちょっと難しい質問なんですが……藤井さんの中には「楽しいからやる」という価値観と、「やれるか分からないけどやってみる」という精神がありますよね。でも、できるか分からないことをやるときってストレスがかかると思うんです。そのバランスはどう取っているんでしょう。
藤井さん:
ああ、確かに。仕事をやっていると、楽しいだけのことではないので。そういうときは、その中で「どうやったら楽しくなるか」を必死に見出すというか。「こうすれば効率的にできるんじゃないか」と効率化を探したり、辛いことから早く脱却するために、楽しくなるための試行錯誤をとにかく繰り返すんです。
——問題が起きたときに「楽しい方を選ぶ」んじゃなくて、それを丸ごと受け止めて「楽しいことに昇華していく」ということですね。
藤井さん:
そうですね。仕事なので、楽しいだけじゃなくて、自分が苦手なことからただ逃げるんじゃなくて。「こういうプロセスだったら楽しくできるんじゃないか」というのが意外とあるんだな、と気づけたのがすごく大きかったです。

——今後の展望についても伺えればと思います。こういう仕事をしていきたい、こういうものをユーザーに届けたい、というビジョンはありますか?
藤井さん:
直近は、今担当しているプロジェクトをどう成功させるか、というのが一番考えていることです。そのうえで、先ほど話した「楽しい仕事環境をつくる」というのを、自分の班内だけじゃなくて、プロジェクト全体、ゆくゆくは社内全体に広げていけたらいいなと思っています。
リーダーをやってみて、自分一人でやれることってこんなに少ないんだなと感じたんです。いい背景を作るには、チームメンバーの力があってこそ。5人が楽しい環境で力を100%、120%出せれば、自分が120%出すよりもいい作品が作れる。そういう余裕のある、楽しい中で生まれた作品を、「これだ」と自信を持って人生で作ってみたい、というのが理想としてあります。
——現場にいる藤井さんだからこそ感じる、アトラスさんのゲーム作りの熱量みたいなものはありますか?
藤井さん:
本当に「ゲームを良くしよう」というのをすごく感じます。スケジュールギリギリまでブラッシュアップをしていて、アートディレクターとマンツーマンくらいになって「ここをもっと良くできるんじゃないか」と最後まで粘る。それは自分のプロジェクトだけじゃなくて、どのプロジェクトでもそうなんです。
あと、感想を気軽に送れる仕組みがあって、職種を問わず、デザイナーじゃない人でも「このデザイン、こうした方がいいんじゃない」と言える環境があるんです。チーム全員で一つのいいゲームを作ろう、という土台がどのプロジェクトにもある。そういう人たちが、隅々まで、細かいところまでこだわって作り上げているゲームなんだよ、というのはすごくアピールしたいですね。
——藤井さんが仕事をしていて「一番楽しい」と感じるのは、どんなときですか?
藤井さん:
一番最初に感動したのを覚えているのは、自分の作った背景がちゃんと「ゲームになる」瞬間ですね。NPCが置かれたり、敵キャラが置かれたり。学生の頃は、自分で作品を作って自分でゴールを決めて終わりだったんですけど、自分の背景の上にキャラが立って歩いているのを最初に見たときは、「ゲームを作っているんだ」とすごく強く印象に残っています。
自分は一人で作っていないと感じるときが、やっぱり一番楽しいんです。企画さんとすり合わせて「こういうのを入れたら面白いんじゃないか」と話しているときも楽しいし、それが実際に実装できたとき、さらに発売されたゲームで意図した通りの反応をもらえたときは、「やった!」という感じで、すごく楽しいです。
——最後に、これからクリエイターを目指す後輩へ、メッセージをお願いします。
藤井さん:
自分が好きなこと、「これが楽しい」というのが確立している人と、自分は働いていきたいなと思います。「私はこういうデザインをしていきたい」という人ってすごく強いんです。好きや楽しいって、結構武器になるんですよね。
いいデザイナーの人って、「このキャラのデザインには、ここにこういう小ネタがあって」と、すごく楽しそうに語るんです。その「好き」「楽しい」が、結局いいデザインにつながっていく。だから、これから何をやっていきたいのか、何が好きなのかを自分の中で整理して見つけてもらうと、それがクリエイターとしての武器になると思います。まずは「自分は何が楽しいのか」を整理してみる。自分もそうだったので、おすすめです。
——素晴らしいメッセージ、ありがとうございました。次に藤井さんが関わったゲームが発表されるのを楽しみにしています!
藤井さん:
ありがとうございました。

「引きこもりがちだった」と自らを語る藤井さんですが、大学3年生での焦りをきっかけに一歩を踏み出し、「まずはやってみる」を積み重ねて、今ではチームを率いるリーダーへ。その歩みは、迷いながらも前に進もうとするすべての人の背中を押してくれるはずです。そして、辛いことさえ「楽しさに昇華する」という藤井さんの姿勢と、「好きや楽しいは武器になる」という言葉は、これからクリエイターを目指す方への何よりのエールだと感じました。藤井さんの今後のご活躍を、心より応援しています。
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