「まず、動いてほしい」ゲームに救われた過去から、ゲームを作る側へ

クリーク・アンド・リバー社(C&R社)が運営するC&R Creative Academy(以下、アカデミー)責任者佐藤・運営大久保が、卒業生にインタビューして、本音で語ってもらうシリーズ。

大学中退、地方からの上京、親御さんの反対——。Iさんが歩んできた道には、いくつもの壁がありました。それでも「ゲームを通じて誰かの心を支えたい」という想いを胸に、3DCGキャラクターモデラーの道へ踏み出したIさん。Game Creators Farm(以下:ファーム)での自走の日々、本科での徹夜続きの制作、松浦先生との月1回のメンタルケア面談、そして就職内定まで——。「考えすぎて動けない」自分を変えた、その等身大のストーリーをお届けします。


[プロフィール]
昼間3DCGキャラクターモデルコース卒業生:Iさん(2026年卒業)

[インタビュアー]
C&R Creative Academy責任者 佐藤浩平
C&R Creative Academy運営 大久保よし美


大学中退、そしてゲームに救われた日々

改めて、Iさんのこれまでのご経歴と、アカデミーを受講しようと思ったきっかけを聞かせてもらえますか。

大学には、もともとやっていた部活の推薦で入学したんですけど、うまくいかないことがあって、中退することになったんです。その時に、人との関わり方にすごく悩んでしまって。

そんな時にゲームのキャラクターやアバターを通して他の人と交流することで、「やっぱり人と関わることって楽しいな」と思えて。すごく救われていたな、という感じがしました。そこから、自分もゲームを通して誰かの心を支えられるようなプレイ体験を提供したいと思い、ゲーム業界を目指すことにしました。

佐藤浩平(Creative Academy責任者)※以下、佐藤:

そこからモデラーを目指そうと思ったのは、何かきっかけがあったんですか。

Iさん:

もともとキャラクターイラストを描くのが好きだったんですけど、ゲーム業界で自分がどう関わっていきたいかを考えていた時に、あるゲームに出会ったんです。
その作品のキャラクターが本当に印象的で。3Dモデルなのに、まるでイラストレーターさんの画風がそのまま再現されていて、「こんなことができるんだ」とすごく感動しました。その経験をきっかけに、自分も誰かを感動させられるような、再現度の高いキャラクターを作りたいと思うようになりました。

とても素敵ですね。最初はどうやって3DCGを勉強していったんですか。

友人に3DCGをやっているVTuberの方がいて、その方にアカデミーを紹介していただいたんです。「3DCGをやっていくぞ」と相談したら、YouTubeのわかりやすい講座を紹介してくれたり、ツールの使い方を教えてくれたりして。身近にいろんなことを聞ける人がいたのは、すごく幸運なことだったなと思います。

ファームで殻を破る——「勇気を出して声をかけたら、すごく良くしてくれた」

ファームに参加してみてどうでしたか。

専門的な分野の学習は、どうしても一人で進めることが多いと思うのですが、ファームではさまざまなバックグラウンドを持つ方が集まり、それぞれの知識や経験を共有できる環境がありました。そうした点がとても良かったと感じています。ただ、実は参加して最初の1か月ほどは、ほとんど顔を出せていなかったんです。

そこからどのように行動を変えていったんですか。

ファームが開いている時間に、いつも作業通話に参加されている方がいらっしゃったんです。自分も思い切って声をかけてみたところ、とても親切に接してくださって。そこから自然と参加する機会が増えて、気がつけば毎日のように通話に入るようになっていました。

佐藤:

ファームの講師からのフィードバックはいかがでしたか。

すごく的確でした。
制作をしていると、「なんとなく違和感はあるけれど、何が原因なのかわからない」ということがよくあるんです。先生はそういった部分をデータからすぐに見抜いて、「ここをこう変えると良くなるよ」と具体的にアドバイスしてくださいました。自分が感じていた違和感の正体を言語化してもらえる感覚で、「そんなところまで分かるんだ」と驚いたのを覚えています。

▲Game Creators Farmで制作したMaya基礎課題

焦りを力に変えて。高密度な学習環境で得た成長

2回目で合格して、念願の本科に入校して。実際に入ってみて、ギャップはありましたか。

やっぱり周りがみんなできているというか。1ヶ月、2ヶ月先の先輩が、もうものすごく知識量の差があって。そこにすごく焦りを感じました。

その焦りは、どのように乗り越えていったのでしょうか。

同期に経験者の方がいて、とても知識が豊富だったんです。最初は「質問ばかりしたら迷惑かもしれない」と思っていたのですが、思い切ってわからないことは積極的に聞くようにしました。
先輩や同期、後輩といった立場に関係なく質問をさせてもらいましたし、逆に自分が見つけたツールや制作方法については周囲に共有するようにしていました。お互いに知識を共有し合える環境があったのは、とても大きかったですね。

佐藤:

本科の密度はファームとかなり違うじゃないですか。スケジュール感とか、到達すべき課題のクオリティとか。そこはプレッシャーに感じましたか。

やっぱり感じましたね。ファームでは自主制作のキャラクターモデルを1体完成させるのに3か月ほどかかっていたのですが、本科では1.5〜2か月ほどで制作する必要がありました。
「本当に間に合うのかな」と不安でしたし、制作期間中はほとんど制作に集中していたと思います。
当時は3DCGを始めて間もない時期だったので、わからないことも多く、制作を進めながら調べたり、さまざまな方法を試したりと試行錯誤の連続でした。それでも、その経験を通して制作スピードや問題解決力は大きく成長できたと感じています。

「好き」を原動力に。不安を乗り越えたモチベーション管理術

佐藤:

松浦先生とは、どのようなお話をされることが多かったですか。

松浦先生とは月に1回ほど面談の機会があったのですが、私の場合は技術的な相談というより、メンタル面のサポートをしていただくことが多かったと思います。

私はもともと不安を感じやすいタイプなので、「今、不安に感じていることはありますか」と聞かれると、次から次へと話してしまっていました(笑)。

佐藤:

「不安なことならたくさんあります!」みたいな感じですね(笑)。年齢も離れていましたが、話しやすかったんですか。

そうですね。話しやすかったですね。松浦先生は率直に話してくださる方だったので、こちらも変に取り繕うことなく相談できました。不安なことや悩みも素直に話せる環境だったと思います。

モデルクラスのカリキュラムはフェーズ制で、前半は基礎を学ぶフェーズ・後半は実践フェーズとなりますが、フェーズが変わると担当講師も変わります。後半クラスに入ってからはいかがでしたか?

後半クラスから、松浦先生との定期的な面談がなくなり、それまでは不安なことがあれば相談できる環境があったので、「これからは自分でモチベーションやメンタルを管理していかなければいけないな」と感じました。
私の場合、キャラクターに対する「好き」という気持ちが制作のモチベーションに直結するんです。なので、リファレンスにしているキャラクターのプロフィールや性格を調べたり、二次創作を見たりして、そのキャラクターへの理解を深めるようにしていました。
そうやって「このキャラクターが好きだな」と思えるほど、「もっと良いものを作りたい」という気持ちも強くなるんです。
制作の合間には、自分でもファンアートを描いたりしていましたね。

佐藤:

息抜きしている時も作ってるんだ(笑)。

そうですね(笑)。でも自分の中では休憩のような感覚なんです。イラストレーターの方が仕事の合間に趣味でイラストを描くような感覚に近いのかなと思います。

先輩のフィードバックから学んだ“見る力”

実践フェーズはどうでしたか。

前半クラスと比べて、作品を見る視点が大きく変わったと感じました。前半は基礎的な技術や制作フローを身につけることが中心でしたが、後半の佐藤智幸先生(以下:智幸先生)は作品全体の見え方や完成度、いわゆるルックの部分を重視してフィードバックしてくださいました。そのため、求められる視点もより細かくなり、自分自身で細部まで作り込んでいかなければならない難しさを感じましたね。

特に印象に残っているフィードバックはありますか。

自分へのフィードバックではないのですが、先輩への講評がとても印象に残っています。智之先生が色のわずかな違いや黒の強さの違いについて指摘されていたのですが、当時の私はその違いが全く分からなくて。「もし自分が同じことを言われたら、ちゃんと直せるだろうか」と不安になったのを覚えています。

佐藤:

他の人のフィードバックを聞いている時の、「これ私に突っ込まれたら答えられないかもしれない」みたいな、常に緊張感みたいな(笑)。

はい。先輩方へのフィードバックを聞きながら、「次は自分も同じことを指摘されるかもしれない」と考えていました。そのため、提出前にはリファレンスと何度も見比べながら、「ここが違う」「ここも違う」と細かく確認する習慣がつきました。

そうした積み重ねもあってか、智幸先生から「細かいところによく気づくよね」と言っていただけた時は、とても嬉しかったですね。

佐藤:

今振り返ると、観察眼はすごく養われたなって感覚、やっぱりある?

すごくあります。当時は分からなかった色の違いや細かなニュアンスも、今では自然と気づけるようになったと思います。

佐藤:

それはすごいですね!

智幸先生からのフィードバックだけじゃなくて、受講生同士でも作品を見て意見を出し合う機会が多かったんです。「どこが違うんだろう」と常に比較しながら見る習慣があったので、それも観察眼が養われた理由の一つだと思います。

佐藤:

今でも先生方の言葉を思い出すことはありますか。

ありますね。実は松浦先生の言葉を思い出すことが多くて……「一つひとつのタスクにどれくらい時間がかかるのか把握して、しっかり管理しないとダメだよ」と言われていたので、今でもスケジュール管理をする時に思い出します。

佐藤:

しっかり身についているんですね。この一年弱で学んだことが。

就職活動——「進め方を失敗したかな」という反省も

就職活動はどんな感じで進んでいきましたか。

卒業してから、エージェントの方に「興味のある企業をリストアップしてください」と言われたんですけど、正直その時点では制作に集中しすぎていて、企業研究をほとんどできていなかったんです。
それで、同じ時期に卒業した受講生の方と一緒に企業研究を進めました。企業をリストアップして、優先順位をつけながら応募先を決めていきました。私の場合は第一志望の企業が明確にあったので、その会社を軸に応募のスケジュールを組んでいたんですが、今思うと少し進め方に反省もあります。
第一志望の企業ではポートフォリオにデッサン作品の提出が必須だったんですけど、当時の私はデッサン経験がほとんどなかったんですね。なので、まずはデッサンを制作する時間を確保しようと思って、その企業への応募を後ろのタイミングに設定していたんです。
ただ、その前に応募していた企業の書類選考が通って面接が始まってしまって。面接が進んでいる状況で次々と別の企業に応募すると、志望度が低いと思われる可能性もあるというアドバイスをいただいて、応募のペースを調整することになりました。
結果的には良い経験になったんですけど、振り返ると、卒業してから慌てて動くのではなくて、受講期間中から少しずつ企業研究や応募準備を進めておけば、もう少し余裕を持って就職活動ができたのかなと思っています。

今回ご入社されたのは3DCG制作スタジオさんですが、入社の決め手はなんでしたか?

大きかったのは、携われる案件の幅広さです。実際に手掛けている作品の中には、自分が知っている作品も多くありました。「いつか自分もこういった作品に関われるかもしれない」という期待感がありましたね。
また、クリエイター一人ひとりを大切にしていて、成長を積極的に支援してくれる環境だと感じました。ここなら技術者としてさらに成長していけると思えたことが決め手でした。

佐藤:

就職が決まった時は、率直にどんな気持ちでしたか。

まずは大きな安心感がありました。就職活動自体が想像以上に大変だったので、「ようやく終わった」という開放感がありましたね。
その一方で、不安もありました。私は地方出身なので、一人暮らしや引っ越しへの不安もありましたし、クリエイターとして本当に通用するのだろうかという気持ちもありました。

佐藤:

ちなみに、上京や引っ越しについて、ご家族の反応はどうでしたか。

引っ越しの時は、あまりいい顔をされなかったですね。「ちゃんとできるんだぞ」というアピールをしながら、自分で全部準備して。最終的には親も認めてくれて、渋々ながらも応援してくれるようになりました。資金援助もしてくれて、なんとかなりました。

佐藤:

最後は「もうしょうがないから行ってこい」みたいな感じで送り出してくれたんだね。

はい(笑)。そういう感じでした。

佐藤:

実際に働き始めてみて、いかがですか。

難しい案件に携わった時に通用するだろうかという不安は、今でもあります。
ただ、それ以上に毎日が本当に楽しいんです。実際に制作に携わるようになってからは、生活そのものがクリエイティブに囲まれるようになりました。好きなことを仕事にできている実感があって、毎日とても充実しています。もうずっとデスクでニヤニヤしていて(笑)。

佐藤:

楽しさが伝わってくるよ、本当に(笑)。いつか自分が携わったゲームが発表されたら、親御さんにも見せてあげてほしいですね。

そうですね。「できたよ」って言えるように、頑張ります(笑)。

「まず、動いてほしい」——迷っている人へのメッセージ

佐藤:

きっとこのインタビューを読んでくださっている方の中にも、地方に住んでいて、ご家族から反対されていたり、クリエイティブが大好きなのに東京へ出るきっかけをつかめなかったりする方もいると思います。そんな方々へメッセージをお願いします。

まず言いたいのは、まず、動いてほしいということです。
自分もそうなんですけど、やっぱり最初にいろいろ考えすぎちゃって、尻込みしてしまって、ちゃんとできるのかなとか、すごく不安に感じて動けないということもありました。でも、一歩踏み出してみると意外と見える景色が変わってくるんです。なんとかなるので、まず動いてほしいということですね。

もちろん最終的に頑張るのは自分自身なんですけど。ただ、行動すると自然と向き合わなければいけない状況になりますし、その中で「意外とできるかもしれない」と思えるようになるんですよね。

振り返ってみると、「あ、やっぱり間違ってなかったんだ」「動いてよかった」というふうに思えるので。失敗を考える前に、まずは動くことですかね。

佐藤:

振り返ってみると、「あ、やっぱり間違ってなかったんだ」「動いてよかった」というふうに思えるので。失敗を考える前に、まずは動くことですかね。

そうですね。最初は反対されていたんですけど、自分で準備して、行動で示していくうちに、少しずつ認めてもらえるようになって。「なんとかするのは自分」というのは、親との関係でも同じだったかなと思います。

日常生活の小さいことからでもそうなんですけど、複雑なことは考えず、まず動いてみる。行動することで結局やらなきゃいけない状況になってくるので、そしたらもう自然と体が動くのかなと思います。

佐藤:

将来の展望も聞かせてもらえますか。

自分の好きなゲームのタイトルに携わりたいです。ゆくゆくは、キャラクターのルックですとか、全体をまとめるような仕事でチームを引っ張っていきたいなと思っています。

佐藤:

楽しみにしています!

ありがとうございました。

▲C&R Creative Academy入校前に制作されたオリジナル作品

取材後記

大学中退、地方からの上京、親御さんの反対——。Iさんの歩みには、簡単には乗り越えられないような壁がいくつもありました。それでも「ゲームを通じて誰かの心を支えたい」という原点の想いを手放さず、自分で全部準備して上京し、ファームで殻を破り、本科で徹夜続きの制作に向き合い、松浦先生との面談でメンタルを整えながら、最後まで走りきりました。行動で示し続けた結果、渋々だった親御さんも最終的には応援してくれるようになったというエピソードは、「まず動くこと」の大切さをそのまま体現しているように感じます。「失敗を考える前に、まずは動くこと」——その言葉は、考えすぎて動けなかった過去の自分を乗り越えてきたIさんだからこそ、深く響きます。今後のご活躍を心より応援しています。

C&R Creative Academyでは授業料が完全無料。
就業後を見据えた実践形式の授業で、プロを目指す方を育成します。
ゲーム業界への就職を目指す方は、ぜひ一度、説明会や無料カウンセリングにご参加ください!

説明会はこちらからお申し込みできます!

関連記事

関連記事はありません