C&R Creative Academy

「帰宅するたびにガンダムのポーズを変える」モーションデザイナーの素質あり?

クリーク・アンド・リバー社(C&R社)が運営するC&R Creative Academy(以下、アカデミー)責任者佐藤が、卒業生にインタビューして、本音で語ってもらうシリーズ。
アカデミーの3Dモーションコースを担当されている佐久間 朋美先生とモーションコース卒業生2名のインタビューの最後になります。

3Dモーションコースに応募した受講生はどのような経歴で、佐久間先生の授業ではどんなことを学べるのかを卒業生お二人に語っていただきました。
また、モーションデザイナーに向いている人についても訊いてみました。


[インタビュアー]
C&R Creative Academy 責任者:佐藤浩平
[インタビュイー]
3Dモーションコース講師:佐久間 朋美
3Dモーションコース卒業生:中村さん(2022年8月卒業)
3Dモーションコース卒業生:尾崎さん(2022年9月卒業)


なぜ会社を辞めてモーションデザインを学んだ?

佐藤(C&R Creative Academy責任者)※以下、佐藤:
まず初めに、卒業生のお二人について伺っていきたいと思います。 受講する前は何をしていたのか、志望動機も教えてください。

尾崎さん(卒業生)※以下、尾崎:
私は栄養士を目指して大学を卒業後、食品関係の会社に4年半勤めました。
勤めながら趣味でイラストを描いていたら、SNSを通じてゲーム素材の作成のお仕事をいただけるようになりました。
その後、2Dだけでなく3Dの制作にも携わりたいと思い、アカデミーに応募しました。イラストレーター歴は4年目です。
当時はイラストだけではご飯が食べていけなかったので、イラストレーターをしながらアルバイトもしていました。

佐藤:
イラストレーターの流れだとキャラクターモデルや背景モデルを選びそうなのですが、どうしてモーションコースを選考したのですか?

尾崎:
以前から2Dのイラストを描くだけでなく、少しだけモーションにも携わっていました。すると3Dでキャラクターを動かす魅力に気づいたんです。
私がモーションデザイナーになったら、もっと可愛く動かせるんだろうなと夢を抱いていました。
あとキャラクターモデルは就職の競争率が高いので、あえて避けました。

佐久間先生※以下、佐久間:
キャラクターモデルの仕事は人気だけど、モーションデザイナーの仕事ってマイナーなので、なかなか魅力に気づいてもらえないんですよね。

中村さん(卒業生)※以下、中村:
僕は昔からガンダムを作るのが好きで、同じような機械やロボットを作るのが夢でしたので、
高校卒業後は金型の精密機械を製造する会社に2年間勤めていました。そこでの仕事はやりがいを感じていましたが、
機械に流れる油が僕の体質に合わず、意識が飛んでしまうこともありました。
このままでは命に関わる可能性もあるので、やむなく別の道を歩むことを選びました。

CADでCGを作ることにも憧れていたので、仕事を辞めてからはCGの専門学校で2年間学びました。
しかし、就職活動中に実力不足に気づき、授業料無料のアカデミーに応募しました。

佐藤:
そうだったんですね。ガンダムは今も作っていますか?

中村:
趣味としてちょっとしたパーツを作ったりしてます。

尾崎:
塗装とかすごく上手ですもんね!

中村:
ありがとうございます(照)

佐藤:
モーションを学びたいと思ったきっかけはなんですか?

中村:
きっかけは、専門学校の先生です。ゲーム会社でモーションデザイナーをされていたそうで、モーションの話をするようになりました。
興味を持ち、自分でモーションを作るようになったんです。
それ以降、キャラクターモデルよりも楽しいと感じたので、モーションデザイナーになりたいと思うようになりました。

中村さん1
▲体の不調からCGの道を歩みはじめることになった中村さん。始めるきっかけは十人十色。

3Dの世界もリアルと同じ仕組み

佐藤:
入校前と入校後では、モーションのイメージにギャップってありましたか?

尾崎:
Mayaに初めて触れて思ったことが、「なんでも動かせてしまうんだ!」と驚きました。
ですが、なんとなく作ってしまうと、説得力がないモーションにしかなりません。そこが私が最初につまずいたポイントでもあります。
動かしているのは機械ですけど、人間の動きって重要なんだと気づきました。私は運動が苦手ですが、体の動かし方は常に考えています。

中村:
モーションは2Dアニメとは全く別物だと考えていたんです。しかし、2Dもリアルも一緒なんだと知りました。
相手にパンチを食らわすにしても、モーションの構成がしっかりしていないと、ぐにゃっとした勢いのない作品が出来あがってしまいます。
最初はこれでいいと思っていましたが、プロの世界では通用しないのだと心を改めました。

佐藤:
僕も「モーションってめちゃくちゃ面白いな」と感じたポイントがありまして、
キャラクターの手の動かし方1つでも、老若男女・喜怒哀楽が演じられるところが面白いですよね。
キャラクターの個性を出すために、努力していることや苦労した点はありますか?

中村:
僕は作品のこだわった点を明確に伝える訓練として、会社の先輩と一緒に作品を鑑賞しています。
鑑賞した作品の細かいこだわりを見つけて議論することで、モーションの勉強にもなりますし、楽しい点でもありますね。

尾崎:
苦労した点で言うと、私はすぐに感情移入してしまうタイプなんです。
ゲームなどでグロテスクなシーンを見ると、体調を崩してしまうくらいに(笑)ですが、
キャラクターの気持ちになりきってモーションがつけられるので、逆に強みだと思っています。

佐藤:
佐久間先生、作品のこだわりを見つけたり、役になりきったりすることはとても重要なことですよね?

佐久間:
もちろん!キャラクターの背格好や体重も含めて、すべてがキャラクターの動きに反映されます。
そこが理解できないと作れませんので、参考資料を見つけたり、キャラクターになりきることって重要なんです。
また、授業では「自分の作品を実際に真似てみて、動けるかどうか確認してください」と教えています。

佐藤:
3Dの世界もリアルと同じ仕組みだということですね。しかし、エンタメ作品をクリエイター目線で見てしまって、普通に楽しめなくなってしまいませんか?

佐久間:
確かに、気になってしまった場面は二度見してしまいますね!

佐藤:
他の人と作品を見ていて、「なんで今のところ巻き戻したの?」とかならないですか?

佐久間:
誰かと見ているときは、さすがに巻き戻さないです(笑)私の場合は、メイキング映像を見るのが好きですね。

尾崎:
私も見ますね!メイキング映像は必須です。

中村:
アニメのメイキング映像もありますよね!

どうして「3年続けること」が大事なのか

佐藤:
実際に佐久間先生の授業を受けてみて、特に印象的だったことってなんですか?

尾崎:
「体の動きには全部意味がある」という言葉はすごく勉強になりましたね。
たとえばパンチするとき、右手で殴るけど、左手はガードするために顔の横にあるなど、動作一つひとつに連帯的な意味があることに気付かされました。

佐藤
関わったことがないスポーツでも詳しくなれそうですね!
素人だと動きの一部にしか注目しませんが、アカデミーでモーションを学ぶと、意識しなかったことを意識するようになりませんか?

尾崎:
「私、すごく姿勢が悪いな!」って気づきました。姿勢矯正とか健康を意識するようになってしまいました!

一同:(笑)

一同2
▲モーションデザインを学ぶ中で「健康オタク」のようになってしまった尾崎さんに、一同爆笑。

中村:
僕が佐久間先生の言葉で印象に残ったのは「まずは生き残ろう」という言葉ですね。アカデミーへ入校した当時は、精神的によくない状態でした。
新たにスタートを切ることへの不安は大きく、前職の影響もありました。
佐久間先生に僕の話を聞いて共感してもらえた時に、「まずは生き残ることを頑張ってやってみよう!」と声を掛けてもらえました。
今も自分が壊れないように取り組むことを意識しています。

佐久間:
私も2年くらいで体調を崩してしまった経験がありますし、どの職業でも最初は辛いものです。中村さんには「最初の3年間は絶対に辛いから!」と伝えていました。
私の経験上、3年間耐えられたならずっと(同じ仕事を)続けられます!
まずは、今やっていることが好きでないと続けられませんし、人に良さだって伝えられません。
しんどいと思ったときは「気分転換に博物館などで資料探しをしておいで。それも1つの勉強法になるからさ!」っていう話をしていましたね。

中村:
先生のおかげで、メンタルも鍛えられました。最近はよく水族館に行くようになりました。

佐久間:
いいと思うよ。魚の動きって難しいのでよい勉強になるから!要は「リラックスしつつ、仕事を嫌いにならないこと」です。

佐藤:
重要なのは3年耐え抜くことなんですね。
経歴もしっかりあり、現役で活躍している先生だからこそ、スキルだけじゃなく業界で生き残る術も教えてもらえるということは、ありがたいことですね。

中村:
僕が想像していたアカデミーは、技術的なことしか学ばないイメージでしたが、実際は大きく違いました。スキル以外の仕事のスタンス等も教えていただけました。

帰宅するたびにガンダムのポーズを直していた

佐藤:
モーションデザイナーさんを目指すのに向いている人ってどんな人だと思いますか?

中村:
ポーズのことを意識している人が多い印象です。自分は帰宅するたびにガンダムフィギュアのポーズを直していました(笑)
制作にかける時間よりも、ポーズにこだわっている時間の方が長かったと思いますね。そういう人がモーションデザイナーに向いていると思います。

中村さん2
▲朝出かけた時から2mm、3mmズレている、傾きがなんか違う…と帰宅後に微調整している姿が目に浮かびます。

尾崎:
私は映画などの作品を見ていて具体的に感想を述べられる方だと思います。

佐久間:
そうですね、簡単にいうと「オタク」の人ですよね!プロのモーションデザイナーにも、参考資料を使わずに良い作品を作る人もいるんです。
彼らには必ずといっていいほど、物事を追求するオタク的な要素があります。

佐藤:
最後に、今後の展望をみなさんに聞いてみたいですね。

尾崎:
今は目の前のことで目一杯なので、展望まで考えたことがないのですが…まずは、いろんな作品に携わって技術を磨いていきたいと思います。

中村:
僕も一緒にやっている先輩に追いつくことが目標ですね。僕は人を目標にした方がやる気が出るので、どんどんステップアップしていきたいと思います。

佐久間:
私自身も生徒に教えることで、自分が上達できていると実感してますし、共にともに成長していきたいなと思っています。
まずはアニメーターにはCGの世界があるということや、モーションデザイナーという仕事もあるということを知ってほしいです。

講師卒業生4
▲今回インタビューに応じてくださった中村さん、佐久間先生、尾崎さん、ありがとうございました!

取材後記

3Dモーションコースは経験豊富な講師がモーションスキルだけでなく、心理的な面にも寄り添ってくれる温かい環境だということが知れましたね。
また、モーションデザイナーに向いているのは、何かに夢中になれるオタク的一面を持っている人。
その素質があれば、今回お話を伺った卒業生たちのように、モーションデザインの経験がなくても、プロを目指せるのではないでしょうか。

アカデミーでは授業料完全無料で、就業後に培ったスキルを活かせる実践形式の授業を行っております。
気になる方や少しでも興味がある方は、 こちらから随時説明会を開催しておりますので、ぜひ参加してみてください。

文:小川翔太
画像キャプション:アカデミー運営

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